その21
「ユキちゃん達はどこにいくの?」
花子はユキに聞きました。
「私達、この黒潮に乗って北の方に行くの」
ユキは答えながら背中のヒレをビビッと振るわせました。その振動がユキの目の前にいた花子に響きました。
「アアアァ〜・・・」
花子の体は回転レシーブのようにくるくると3mほど海の中を転げ回りました。花子は足をばたつかせながら、どうにか海の上に顔を出し、一呼吸して平静に体を保ちました。
「フッー・・・ユキちゃん達って大きいから、少しでも体を震わせると私ビビビッと くるわ・・・」
話しながら、花子はユキのそばに泳いでいきました。
ユキのお兄さんのクマも、波を立てないようにスーと花子のそばにやって来ました。ユキとクマの目は花子の体がいくつか入るほど大きく、花子は吸い込まれそうになりました。
シャチのお父さんのヨシとお母さんのマリは20mほど離れた所から、花子達の様子を見て微笑んでいました。
「お父さん、花子ちゃんはユキとクマの友達になれるかしら・・・」
「きっと良い友達になれるよ・・・」
とお父さんのヨシが言いました。
「ユキちゃん、頭の上に乗せてよ」
花子はふと、昔の遊びを思い出しました。