その17
もともと群れでは生活しないウミガメ、大きくなってきた花子達、これから一人で生きていくことにしました。
「では、流れ藻を見つけ次第一人ずつ出て行くことにしよう」
さとるが言いました。
広い太平洋、流れ藻はなかなか見つかりません。
半日ぐらい過ぎた頃です。1mぐらいの広さの流れ藻が傍に流れてきました。
「よさそうなのが寄ってきた、出て行くとするか」
さとるはその流れ藻にすいすいと泳いで行ってしまいました。みんなが「さよなら!」と、声をかける間が無かったほどです。クールなさとちゃん、みんなに涙を見せたくなかったのでしょうか・・・。
一晩過ごした次の朝、花子が目覚めると傍に長さ1m、幅80cmほどの流れ藻が近づいていました。
「今度は私が出て行くわ」
花子はみんなに声をかけました。花子も別れ涙をみんなに見せたくなかったのです。力いっぱいに前あしをはばたき、自分でも速いと思う泳ぎで流れ藻に移動しました。みんなの声は聞こえませんでした。
「さようなら、のぞみちゃん。さようならみんな」
今度はいつ会えるのでしょうか・・・?