その15
甲羅の長さ11センチメートル、体重300グラム、花子は少し大きくなっていました。くちばしも硬くなり、流れ藻についているエボシガイも食べられるようになっていました。
太平洋の波は、西から吹いてくる風で少しだけ大きなうねりを伴っていました。
花子はあいかわらずのぞみちゃんたちと旅をしていました。今まで、何度となく危険な目に遇ってきたのでしたが、運良く生き延びてきたのでした。
「のぞみちゃん、この隠れ家は小さくなったね」
「そうだね、別な隠れ家を見つけなくては・・・」
「さとちゃんはどう思う?」
「僕もそう思っていたところだった」
「では、もっと大きな隠れ家を探しましょうか?」
花子はみんなに提案しました。
「でも、そんなに大きな隠れ家はあるの?」
と、まーちゃんが言いました。
「ウーン・・・!」
みんな考え込んでしまいました。何しろ、2メートル四方の流れ藻に10匹も住み込んでいるのです。まだ小さい頃はよかったのですが、何しろ甲羅の長さが11センチの大きさのウミガメが10匹も住むのには狭くなったのです。