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うみがめ花子



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その10

屋久島を出てから2ヶ月もたったでしょう・・・。時速2キロ以上の早さで流れている黒潮に乗って花子達は流れ藻と共に旅をしています。すでに、生まれた屋久島はもちろんのこと日本も見えなくなっています。季節はすでに秋になり、海水はかなり低くなっていました。
 「少し冷たくなったネ、ここから出て陽にあたろうか」花子はそばにいたのぞみちゃんに言いました。
 「そうしょうか」と、のぞみちゃんも言葉を返し、他の仲間を誘って流れ藻から離れないように気をつけながら休みました。アジサシ達の目をごまかすために足をぴったり体につけ、木の葉のように見せます。
 「これで安心」、アジサシ達からはただの木の葉にしか見えないのです。2ヶ月もたった花子達は、甲羅が盛り上がり、20グラムしかなかった体重は2倍以上も大きくなっていました。
 気持ちよく寝ていた花子達の周りの海が大きなうねりになって、盛り上がってきているのに花子達は気づきませんでした。