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調査報告(1985-2017)

*** 1985年〜2017年 調査報告 ***

▼ 2017年度調査地区図
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産卵期の調査における用語の定義
上陸(産卵)回数 上陸(産卵)した回数(=述べ数)
産卵率 上陸した回数の内、産卵した割合
上陸個体数 標識調査することによって確認できた個体数
(永田地区では、ほぼ100%確認している)

ふ化期の調査における用語の定義
ふ化 卵から子ガメの全身が出ること
脱出 ふ化後の子ガメが地上に出ること
ふ化率 産み落とされた卵の内、ふ化した子ガメの割合
帰海率 産み落とされた卵の内、脱出した子ガメの割合
脱出成功率 ふ化した子ガメの内、脱出した子ガメの割合
全巣の帰海率 浜で産み落とされた卵の内、海に帰っていくことのできた子ガメの割合


 ▼ 屋久島(いなか浜、前浜)年度別上陸回数
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2017年の永田地区(いなか浜・前浜・四ツ瀬浜・川口浜)におけるウミガメの上陸状況は、アカウミガメが上陸6,933回、アオウミガメが上陸182回でした。2016年に比べ、アカウミガメとアオウミガメの上陸回数は、それぞれ約21%、約43%と増加しました。
その中で、いなか浜でのアカウミガメの上陸回数は3,048回、前浜では2,982回で、2017年は例年通り、前浜よりいなか浜の上陸回数が多い結果となりました。


※2008年に大幅に増加した要因は、1973年から屋久島町の条例と当法人が卵を保護した結果と考えられます。
※2013年は調査を開始した1985年以来最高を記録しました。


 ▼ 屋久島(いなか浜、前浜)年度別産卵回数
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2017年の永田地区におけるウミガメの産卵状況は、アカウミガメが産卵2,978回、アオウミガメが産卵43回でした。
その中で、いなか浜でのアカウミガメの産卵回数は1,799回、前浜では1,026回であり、2016年に比べ、それぞれ27.0%、8.0%上昇しました。

 ▼ 屋久島(いなか浜、前浜)年度別産卵率

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2017年の浜別の産卵率は、いなか浜で58.3%、前浜で34.1%と、2016年よりそれぞれ1.5%上昇、1.1%低下しました。


▼ 屋久島(いなか浜)年度別上陸回数、産卵率推移
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a:見学ツアーの大型バスの光
b:設置された遮光板(2016年)
ウミガメの産卵見学はほとんどいなか浜で行われ、多くの人が夜のいなか浜を訪れました。
2012年にはいなか浜のトイレと駐車場が新設され、駐車場に入ってくる車のライトがさらに浜に入るようになり、依然としてウミガメを取り巻く環境は改善されていませんでした(写真a)。
2017年はウミガメ観察会の受付をうみがめ館で行い、レクチャーを行った後の待機場所を駐車場に設けたため、そこからの人工の光が浜に漏れ、駐車場付近の観察会をしやすい場所へのウミガメの上陸が多くはなく、2015年以前の状況に逆戻りしたようでした。2016年の環境を維持できなかったのは非常に残念でした

※2016年は、「sankara hotel&spa屋久島」のお客様からのご寄付により、車のライトなどの光が漏れないように、駐車場の周囲に遮光板が設置されました(写真b)。
また、遮光板の上部にダークカーテンを貼り暗い環境にすることで、ウミガメの上陸に影響が少ないようにしました。さらに、ウミガメ観察会の見学者の受付を「うみがめ館」で行ったところ、駐車場付近の砂浜が例年よりもさらに暗くなりました。
このことにより2015年よりも30.0%も高い割合で、駐車場に近い所でウミガメ観察会を行うことができました。駐車場近くの車のライトが入りやすい場所を、ウミガメが上陸することのできる暗い環境に整えることができたと言えます。

▼ 屋久島(いなか浜・前浜・四ツ瀬浜・川口浜)年度別上陸個体数推移
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2017年、標識調査によって確認された永田地区のウミガメの上陸個体数は、アカウミガメ850個体、アオウミガメ10個体の計860個体でした。アカウミガメは2016年の844個体よりも6個体増加、アオウミガメは1個体増加しましたが、2016年とほぼ同様の数でした。
上陸・産卵回数と合わせて考慮すると、アカウミガメ1個体あたりの平均上陸・産卵回数は上陸が約8.2回、産卵が約3.5回で、2016年より上陸で1.4回増加、産卵で0.6回増加しました。
回帰個体については、1〜3年回帰の割合が全体の76.0%を占め、2017年に個体数が最も多かった回帰年数は2年回帰ではなく3年回帰で、その個体数は136個体と、回帰個体全体の31.9%を占めた。9年を超える回帰はほとんど確認されなかったが、これは過去(1985年以降)に装着した体外標識がほとんど脱落しているためと考えられる。


▼ PITタグによって履歴が繋がった個体の推移
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2017年、PITタグによって履歴が繋がった個体の数は262個体にのぼった。体内に埋め込むPITタグの効果は年を追う毎に高くなってきているため、今後もPITタグを体外標識と併用することが望まれる。


▼ 屋久島(いなか浜・前浜)年度別ウミガメ見学者数推移
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2017年のいなか浜と前浜の夜間浜を訪れたウミガメの見学者は9,176名と2016年よりも994名増加しました。
2017年は永田ウミガメ連絡協議会が5〜8月の4ヶ月間の間、いなか浜にてウミガメ観察会を行いました。前浜では観察会を行わなかったためシーズン(4〜9月)を通しての見学者は235名でした。



▼ 屋久島(いなか浜・前浜)年度別全巣の帰海率推移
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2017年のアカウミガメの全巣の帰海率(浜で産み落とされた卵の内、海に帰っていくことのできた子ガメの割合)は、いなか浜で44.5%(2016年は43.8%)、前浜で47.4%(同49.3%)となり、全卵数の約5割の子ガメが海へ帰って行ったことが示唆されました。
2017年はいなか浜と前浜の帰海率はそれぞれ昨年とあまり変わらず、50%にも達していない。いなか浜は脱出確認調査において見逃した巣があることを考慮すると、本来の全巣の帰海率はさらに高かったであろうと推測される。

※2015年まで行われたウミガメ観察会では、子ガメ保護柵内で産卵しているウミガメを見学させる場合もありました。
2005年は保護ロープ外で産んだウミガメを見学できるように、ロープの下側に板の壁を設置しました。保護ロープ外で産卵させた産卵巣は速やかにロープ内に移植しました。
  この結果、子ガメ保護柵内に見学者がほとんど入らなかったために全巣の帰海率が高くなりました。


▼ 屋久島(いなか浜・前浜)での子ガメのふ化率と踏圧
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2017年の永田地区(いなか浜、前浜)における、踏圧があった巣と踏圧のない巣では、ふ化率(産み落とされた卵の内、ふ化した子ガメの割合)・帰海率(産み落とされた卵の内、脱出した子ガメの割合)・脱出成功率(ふ化した子ガメの内、脱出した子ガメの割合)に顕著な差があり、踏圧があった巣はそれぞれ46.0%・37.2%・81.9%でしたが、踏圧のない巣ではそれぞれ67.9%・62.8%・92.3%でした。2016年同様に踏圧の影響が大きいことが示されました。




  c:ふ化前に死んでいた子ガメ

d:ふ化後に死んでいた子ガメ

 
シーズン中、浜にはウミガメの見学者や、浜で遊ぶ人が大勢出入りします。人の出入りが多い所では子ガメが地上に脱出できる割合が下がっています。これは巣穴を上から人に踏まれ、圧死している可能性が考えられます。
また、無事に巣穴から脱出しても見学者に誤って踏み殺されてしまうことがあります(写真c,d)。







e:子ガメ保護柵設置作業

f:子ガメ保護ロープ

g:保護柵内外の人の足跡の違い

見学者によって巣穴が踏み固められないように、産卵巣が最も多い、いなか浜・前浜に4月22日から9月20日まで子ガメ保護柵を設置し(環境省他)、柵内に入らないように協力を呼びかけ、ふ化する子ガメたちを保護しています(写真e, f)。
2017年の保護柵は2015年よりも3ヶ月も早く設置された2016年よりも更に8日間早く設置され、1999年の保護柵設置以来最も早い設置でした。保護柵外は、保護ロープに沿って多くの人達が歩きます(写真g)。しかし、2017年は保護柵を設置したものの、いなか浜で脱出を確認した産卵巣の割合は柵内73.1%、柵外66.2%で顕著な差が見られました。これは保護柵を2016年から狭めたため、柵内の脱出巣があまりにも多く密集し、脱出跡を見過ごした脱出巣も多かったと思われ、また猛暑などによる熱中症で死んだ卵もあったのではないかと推測されました。柵外の脱出巣率が高い確率で上昇したのは、人がほとんど通らない場所(植生帯境、植生帯など)に産卵巣が多かったのではないかと予測されました。

いなか浜全体としての保護柵内のふ化率は67.0%、保護柵外のふ化率は69.6%であり、昨年と同様、保護柵外のふ化率の方が2.6%高い結果となりました。保護柵内のふ化率は昨年より5.6%低下しました。

踏圧死の産卵巣をなくしてふ化率、帰海率、脱出成功率を上昇させるためには、今年度のように、子ガメ保護柵をウミガメシーズンの初め(4月下旬)より設置し、多くの人がよく通る地点の産卵巣については積極的に卵を安全な場所へ移植する必要があります。そのためにはウミガメの産卵シーズンの5〜7月に移植をするための人員が数人は必要ですが、近年はウミガメ産卵期のボランティアが不足しているため、十分に移植が行えていないのが現状です。しかし、2016年に引き続きウミガメ観察会に参加したお客様からの協力金をいただいて、卵の移植要員を雇用しました。

<2017年いなか浜子ガメ保護柵設置場所>


※この地区の産卵巣を可能なかぎり柵内や浜内の安全な場所に移植しました。


<2017年前浜子ガメ保護柵設置場所>




▼ 屋久島(いなか浜・前浜)での2017年度子ガメの雌雄の割合
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ウミガメの雌雄は卵の中で胚が発生する時の砂中の温度により決定されます。29.7度以上でメスが大部分を占め、それ以下だとオスが大部分を占めます。地球温暖化が進む昨今、メスの割合が増えると考えられがちですが、気候が変わり雨が増えると、地面が冷やされてオスの割合が増える可能性もあります。
2017年、いなか浜・前浜から海へ帰って行った子ガメの数は、メスが約84,000匹、オスが約61,000匹と推定できます。雌雄の割合は♀:♂=5.8:4.2と推測され、2017年は、メスの方が16%ほど多いという結果となりました。2017年は雌雄の分かれ月である6月に晴天が多く、7月になっても晴れが続いた影響で砂中温度も上昇し、その結果メスが多く生まれる結果になったと考えられます。



▼ 子ガメの被害
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  h:タヌキに掘り返されていた産卵巣

i:卵を捕食するタヌキ

 
子ガメ保護柵(写真f,g)を設置し、観察ルールなどで立ち入らないよう呼びかけをしたため、保護柵の中に立ち入る人はほとんど見られなくなりました。
しかし、人の出入りが少ないいなか浜のD地区や前浜のE地区端、ふ化調査をほとんど行っていない四ツ瀬浜などではタヌキによる巣穴の掘り返しと思われる被害が出ています(写真i)。
タヌキは足が短いので普通は産卵巣まで掘り抜くことはできませんが、高波や強風の浸食で浅くなった産卵巣や、ふ化した子ガメが地表近くまで登ってきている巣などを掘り返して、卵や子ガメを捕食したり、脱出した子ガメも捕食したりします(写真j)。







  j:巣穴を掘り返す野良猫 k:卵を捕食し、飛び立つカラス  
 



 
  l:浜に設置した籠罠にかかった野良猫

m:産卵巣の周りに群がるカラス

 
野良猫やカラスなどの動物による捕食も確認されています(写真j,k)。
2017年は2015年、2014年に引き続き、捕食調査のため浜に罠を仕掛けました。調査期間中、罠にかかったのは、タヌキが1匹でしたが、センサーカメラではカラスや野良猫、イタチの姿も確認されています。昨年度は野良猫も罠にかかりました(写真l)。また、カラスは、2015年以前ほど多くはなかったものの、掘り返された産卵巣の周りに数え切れないほど群がる姿が何度も目撃されました(写真m)。このことから、野良猫やカラスによる被害はタヌキ以上だと推測されます。


 

 
  n:光に向かう子ガメ

o:浜に漏れる光

 
子ガメは走光性(光に向かっていく性質)が非常に強く(写真:n)、見学者が浜に入る際に点灯するライト、カメラのフラッシュ、携帯電話の光、人家の明かりなど、近年浜に人工的な光が氾濫しているため(写真o)、子ガメはなかなか海へたどり着けません。また、浜で焚き火をしていると火の中に飛び込んできてしまいます。
前浜の一部の地区では無事脱出した子ガメが集落の外灯などの光により、海とは反対側にある川へ向かっていることが足跡により確認されたこともありました。



▼ 上陸時の事故
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p:岩場にはまったアカウミガメ

q:岩場にはまったウミガメの救出

r:浜垣を上がれずにいたウミガメの救出

基本的に海で生活するウミガメは産卵する時にだけ砂浜に上陸します。しかし、陸地での行動が不馴れなため、歩行中に消波ブロックや岩場にはまったり、護岸から落ちたりする事故に遭遇し、身動きがとれなくなってしまうことがあります。長時間水気のない状況におかれたウミガメは、太陽熱により体の水分がなくなったり、体温が上昇したりして力尽き、死んでしまう恐れがあるため迅速に救出する必要があります(写真:p)。
2017年は永田地区の浜で合計23頭のウミガメを救出しました(写真:q,r)。



 ▼ 屋久島(いなか浜・前浜・四ツ瀬浜・川口浜)における出来事
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◇1991年 台風9号により、ほぼすべての卵と子ガメ流出(約8万個)
◇1992年 いなか浜の松、ほとんど枯れる
◇1993年 松全てなくなる
台風7・13号により卵流出、カメ小屋吹き飛ぶ
◇1996年 永田区ウミガメ連絡協議会によるウミガメ観察会開始(協力金制度)
受付場所:永田区公民館
◇1999年 「うみがめ館」開館(夜間臨時開館開始)
子ガメ保護柵設置(いなか浜)
◇2001年 いなか浜トイレ横、整地され駐車場となる
ウミガメ観察会受付場所変更:いなか浜駐車場(プレハブ)
◇2002年 霧島屋久国立公園に編入される(2012年屋久島国立公園に名称変更)
◇2004年 子ガメ保護柵設置(前浜)
◇2005年 ラムサール条約登録湿地となる
見学者10,000人突破
◇2008年 アカウミガメ個体数急増
◇2009年 「永田浜ウミガメ観察ルール」策定
◇2011年 台風6号により卵流出(14〜16万個)
いなか浜駐車場のトイレが改築される
◇2012年 子ガメ保護柵追加(いなか浜A・B地区2箇所)
◇2013年 入浜者カウンター設置(いなか浜)
アカウミガメ最高個体数1,817個体を記録
◇2014年 台風8・12・11号により卵流出(約18万個)
◇2015年 永田浜ウミガメ保全協議会脱会(2009年加盟)
◇2016年 子ガメ保護柵4月30日に設置
いなか浜B〜C地区にかけて子ガメ保護柵縮小
      sankara hotel&spaのお客様のご寄付により、遮光板が設置された   
(いなか浜トイレ横駐車場)
      永田ウミガメ連絡協議会と協力してウミガメ観察会を行った(5〜8月)
ウミガメ観察会受付場所変更:「うみがめ館」
卵の移植要員を雇用し、浜内の殆どの卵を保護柵内に移植できた
      入浜者カウンター故障(いなか浜)

 * 詳細は、賛助会員向け発行のウミガメ調査報告書に記載されております。
 
* 当館による使用許諾を得ずに、上記調査データを無断で利用、転載することを禁止します。

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